"決断する"ためのコツ
時々「決めるのが苦手」「決めたくない」という声を現場で見聞きします。
そこで今回は「決めることが少しうまくなるかもしれないコツ」について書いてみます。
まず最初に「決める」という行為には大きく判断と決断の2種類が混じっているという話です。
判断とは?
判断は、情報が揃っていて比較できる状態のときに決めることを指しています。
例えば「A案とB案がある。それぞれコストはこれくらいで儲けはこれくらい」といった情報がわかっていれば、「今回は儲け/コストを重視してこちらにしよう」という一定誰が見ても同じ結論になるように選ぶことができます。
ここでは情報を集めて分析することが大事になってきます。
決断とは?
一方、決断は前述した判断する情報が集めることができない、集めたとしても明確に誰が見ても同じ結論になるように選ぶことが難しい、結果がどうなるかわからないときに必要になります。
どう取り組めばいいか
何をすればいいか
どんな結果になるのか
やってみることで初めて"わかる"ことが生まれるといったことは、判断ではなく、決断が必要になってきます。
決断を避けたくなる理由
現場を見ていると、決断を避ける振る舞いも見聞きします。これには様々な理由があります。
自分が決める立場ではないと思っている
専門知識がないから決められないと思っている
結果が悪かったときに責められたくない
うまくいかなかった時に恥ずかしい思いをしたり、ミスをするのが怖い
このような責任回避の心理、役割境界の曖昧さ、同調圧力、失敗への恐れといった組織心理的なものも含めた理由は誰の中にも多かれ少なかれあるものです。
ただ、事業づくり、プロダクトづくり、組織やチームづくりにおいての課題のいくつかはその道の専門家も確実にわからないことも多くあります(いわゆる「状況によるよね」というやつです)。
そうなってくると、それを実際に行う当事者が決めていく必要があります。
「決断はいつ変えてもいい」
私はよく「決断は、いつ変えてもいいよ。」と言っています。
あくまで、決断は、今わかっている状況や情報を前提にした「仮の選択」という考え方です。
もうちょっと雑に言うと「今の環境、自分たちの状態、目指すゴール、すでにある前提などから考えるとたぶんこうすると、こうなるんじゃないかな(知らんけど)」みたいな感じで決断すると良いと思います。
もし1時間後に状況が変わったのなら、1時間前の決断を変えても良いです。その時には、新しく得られた情報、それをどう考えてどのように決断をどの更新するのか?といった説明責任を果たすことは必要です。
でも、それが果たせていれば 「なんで変えたんや」「一度決めたことを変えるなよ」と責められることはないと思います。
むしろ新たな情報や状況の変化がわかったにもかかわらず、当初の決断を頑なに変えないことが組織の競争力を失わせていることもあります。
元に戻せない決断もある
もちろん、すべての決断を「いつ変えてもいい」わけではありません。
とても多くの人に大きな影響が出る、元に戻すのにすごくコストや時間がかかるといったものは慎重に考えたり、小さく実施して様子を見るなどの作戦も必要になります。
現場の決断の多くは「元に戻せる」
とはいえ、現場で発生する多くの決断は、実はけっこう簡単に戻せるものだったりします。
書いたコードを戻すことはできる
変えた画面のデザインも戻せる
一度デプロイしたものを戻すこともできる
チームの仕事のやり方も気軽に変えることができる
スクラムならプロダクトバックログにどのような内容を書いてみるのか、スプリントレビューでどんな風にどんな問いかけをするのかといったことも変えてもすぐに戻すこともできる
モブワークをどれくらいやってみるのか?といったこともその度合いを変えてもすぐに戻すことができる
こういうものはどんどん決めていけば良いと考えています。
決断は練習で上手くなる
どんどん決めていくことによって、決断すること自体がうまくなっていきます。逆に言うと、決断するためには実践を積まないとうまくならないとも言えます。
いくら決断のためのコツを書籍、ブログ、動画などからインプットしても日々の中で実践してみる必要があります。
日々の小さなものから決めていく積み重ねが、大きな決断もできたりするようになっていきます。